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オペラの同好の会でカルメンを見た。と言っても映像である。
カルメンはアグネス・バルツァ。ドン・ホセはホセ・カレーラス、エスカミーリョはサミュエル・レイミー。豪華な顔合わせである。1987年2月のメトロポリタン歌劇場のライブ盤。 カルメンのCD、DVDは山ほどあるが、この盤はいわゆる名盤の一つであろう。 今まで断片的に聞いたことはあったが”真面目”に”通し”で見たのは今回が初めてであった。 まずは、アグネス・バルツァ。歌良し、演技良し、まさに圧巻である。バルツァのメゾ・ソプラノは中音,高音の響きがよくて、凄みがある。悪女的なカルメンにはうってつけである。彼女は体格的にはそれほど大柄ではない。オペラ歌手としてはむしろ細身の部類に入ると思う。しかし、どこからあの声が出てくるのか、と思うくらい声量がありかつ美しい。迫力満点である。 カルメンにはハバネラ、セギディーリァのように踊りながら歌う場面があるから(演出にもよるだろうが)身のこなしが軽くなくては様にならない。この点バルツァはうってつけである。役柄としてはもっと濃艶で色っぽくあって欲しいがそれは贅沢というものであろう。 一方のドン・ホセを歌ったホセ・カレーラス。惚れた女に捨てられる男の切なさ、やるせなさが胸に迫る熱演である。特に終幕でカルメンに「俺を捨てないでくれ!」と哀願する場面は私の最も好きな場面であるが、カレーラスのやや弱気な男の雰囲気がぴったりとマッチして素晴らしかった。凄い熱演であるが、ただ私は欲を言えばもう少し声の輝きが欲しいと思った。 このオペラの収録は彼が白血病で倒れる直前のものだそうで、心なし弱々しさが垣間見見えるのはそのせいであろうか。最後にカルメンを刺した後は本当に倒れてしまいそうであった。カーテンコールでの表情がなかなか戻ってこなかったように見えた。 この点では、サミュエル・レイミーのエスカミーリョは凄かった。自信満々の伊達男の面目躍如である。有名な闘牛士の歌は聞き飽きるほど聞いているが、レイミーのこの歌は爽快、豪快、一つの典型ということになるであろうか。 この人には、実はすぐ近くで会ったことがある。数年前メトのバックステージツァーに行ったとき、舞台裏の狭い通路を偶然彼とすれ違ったのである。その時はすぐ分からなかったが、案内人が今通ったのはレイミーだよ、と教えてくれたのである。 だから、会ったというのはおこがましいが、なんとなく親近感があるわけで懐かしささえ感じてしまうのである。 レオーナ・ミッチェルのミカエラはそれなりにいいと思ったが、どこか物足りない。声の張り、清涼感といったものが足りないのか。ミカエラには素晴らしいアリアがあるだけについ注文が多くなってしまう。ずっと若い歌手で私の好きなクラシミーラ・ストヤノヴァが歌ったらどんな歌を聞かせてくれるだろうと思うのだが・・・・ このDVDはライブ特有の熱気が感じられて、観客の反応がまたもの凄い。熱狂的である。こういう盤をみていると生々しい舞台の記憶が蘇ってきてのめりこんでしまう。 それにしても、ビゼーの音楽の素晴らしさは見るたびに感心させられてしまう。ハバネラ、セギディーリア、花の歌、闘牛士の歌、中でも私の好きなところは、先にも書いた終幕のカルメンとホセの悲劇的な場面の音楽である。オペラの醍醐味がここにはある。 いいオペラを見た満足感に浸って家に帰った。
by chusan1
| 2008-11-06 03:10
| オペラ
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